特定調停の調停委員は、債務者に有利な交渉をしてくれるのでしょうか?

調停委員は申立てした人の味方よね!

う~ん、そうとも限らないんだよね。
特定調停の調停委員は、任意整理を依頼した弁護士と同じような役割を果たしてくれるのですが、立場が違う部分があります。
今回は、そんな特定調停の調停委員について分かりやすく解説します。
特定調停の調停委員ってどんな人?
簡易裁判所に特定調停の申立てをすると、調停委員会が設けられ、債務者と債権者の仲介をしてくれます。
調停委員会は、調停委員と、裁判官で構成され、債権者(金融業者)との間を取り持ってくれるのが調停委員です。
調停委員は最高裁判所で任命され、各裁判所で任命者の中から適格者を選任します。
調停委員の任命基準は「民事調停委員及び家事調停委員規則第一条」で、次のように定められています。
- 弁護士となる資格を有する者
- 民事か家事の紛争解決に有用な専門的知識経験を有する者
- 社会生活の上で豊富な知識経験を有する者
調停委員とは、上記の基準で、人格識見の高い40歳以上70歳未満のものの中から、最高裁判所から任命された人です。
専門的知識経験があれば、必ずしも弁護士資格は必要ないってことです。
本業で弁護士をしている方は、本業の弁護士報酬の方がはるかに高いので、調停委員になる人は少ないようですね。
また、裁判所の職員だった方は、専門的知識経験を持っているので、退職後、調停委員になる方も多いとのこと。
いずれにしても、特定調停に関して専門的な知識を持っている人が選任されます。
特定調停の調停委員は債務者の味方?
特定調停の調停委員は、返済計画を提案してくれたり、その返済計画に基づいて、債権者と交渉をしてくれます。
ですが、債務者だけが有利になるようなことはしません。

債務者の味方じゃないんだ!

自分で雇った弁護士とは
立場が違うのよ。
任意整理を依頼した弁護士や司法書士と役割は似ているけど、裁判所から任命された特定調停の調停委員は、あくまで中立の立場なのです。
債権者と債務者のどちらよりでもなく、中立の立場で交渉を進めるので、申立てをした債務者だけが有利になるような交渉をしないのが通常です。
まとめ
特定調停の調停委員は、最高裁判所から任命されたもので、弁護士のほか、専門的な知識経験を持っている人です。
任意整理を依頼した弁護士と同様に、返済計画の提案や債権者との交渉をしてくれますが、双方に中立の立場なのです。
通常は、どちらかに有利になるような交渉はしませんから、期待したほどの借金の減額が望めない場合もあります。
ですが、債務整理の費用が用意できない人にとっては、費用をかけずに借金問題を解決できるメリットはあります。
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