特定調停と任意整理って似てるけど、何が違うの?

あまり変わらない気がするんだけど?

よく似ているわよね。
でも、大きな違いがあるのよ。
特定調停と任意整理は、自分でやるか弁護士や司法書士に依頼するかの違いだけでなく、根本的な違いがあります。
今回は、両者の違いを比較しながら、借金を整理する手段として選ぶ際のポイントを分かりやすく解説します。
特定調停と任意整理を比較
特定調停と任意整理でできることを、同じ部分と違う部分で比較してみますね。
同じところ
特定調停も任意整理も、債権者との交渉で、返済額を調整できるところは同じです。
- 借金が無くなるわけではない
- 返済額の調整ができる
- 整理する借金を選べる
- 3年~5年の分割支払いができる
違うところ
特定調停と任意整理は、法的な強制力が有るかないかで、大きな違いが出てきます。

項目別に比較してみました。
- 手続き方法
- 手続きにかかる費用
- 減額できる債務
- 交渉のしやすさ
- 過払い金の扱い
- 成立後の強制力
特定調停
裁判所を介して行う交渉
申立は自分でする
任意整理
裁判所を介さない私的な交渉
弁護士や司法書士にしてもらう
特定調停は裁判所を介して行われる法的手続きで申立ては自分でしますが、任意整理は裁判所を通さず私的に交渉する方法で、弁護士や司法書士に代行してもらいます。
特定調停:1件1,000円前後
任意整理:1件40,000円前後
特定調停は、裁判所にかかる費用だけなので、格安ですが、任意整理は弁護士や司法書士に支払う報酬が高いです。
特定調停成立後の債務
借金の元本+遅延損害金+未払い利息
任意整理成立後の債務
借金の元本(元本の減額交渉ができる場合もある)
特定調停は将来の利息カットの交渉ができるくらいで、遅延損害金や未払い利息はカットされません。
任意整理は、遅延損害金や未払い利息も交渉次第でカットできるので、通常は借金の元本だけを分割支払いすることになります。さらに、元本の減額交渉ができる場合もあります。
特定調停
交渉に応じない債権者がいた場合、裁判所の職権で決定できる強制力がある
任意整理
交渉に応じない債権者の借金は任意整理できない。
特定調停は裁判所を通して行われるので、強制力があります。
特定調停
利息制限法を超える利息の支払いがあれば、計算し直して払いすぎた利息を借金の返済に充当できるが、過払い金返を取り戻すことはできない。
任意整理
払いすぎた利息を借金の返済に充てても残る場合に、過払い金を取り戻せる。
特定調停では、過払い金返還請求は裁判所では手続きできないので、弁護士や司法書士に別途で依頼することになりますが、任意整理なら、同時に手続きすることができます。
特定調停
調停成立後、調停調書通りの支払いができない場合、差し押さえなどの強制執行をされる場合がある。
任意整理
和解成立後の支払いができなかった場合でも、差し押さえなどの強制執行はされない。
特定調停は裁判所の決定なので、裁判の判決と同じ効力があるため、調停成立後の支払いができなくなると、債権者は強制執行の権利があります。
特定調停か任意整理か選ぶポイント
債務整理をする際に、何を優先するかで選ぶと良いです。いずれにせよ、交渉成立後の支払いができる返済資金があってのことです。

どちらでするにしても
完済まで安定した継続収入が必要ですよ。
- 債務整理の費用を安くしたい
- 遅延損害金や未払い利息の有無
- 交渉に応じない貸金業者の有無
- 過払い金の有無
特定調停の方が断然安い
任意整理なら、遅延損害金や未払い利息の支払いをカットできる
特定調停なら、交渉に応じない貸金業者に対して裁判所の職権で決定できる。
任意整理なら、過払い金返還請求が同時に手続きできる。
まとめ
特定調停と任意整理は、よく似た債務整理の方法ですが、裁判所を通すか通さないかで違いが出てきます。
最優先のチェックポイントは、費用と借金の減額幅ですよね。
- 特定調停
- 任意整理
費用が安く強制力があるが、借金の減額は少ない。
費用は高いが元本以外の債務をカットできる。
どちらも一長一短ありますが、あなたの借金の状況や返済能力に合わせて、無理なく返済できる方法を選ぶことですね。
自分で判断できない場合は、無料相談などを利用してみるのも良いです。
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