個人再生は借金を大幅に減額しつつ住居も残せるといった救済制度ですが、その裏で保証人に大きな迷惑をかけることがあります。

迷惑がかかるのは住宅ローンの保証人なの?

住宅ローンの保証人は大丈夫だけど、その他の借金の保証人に迷惑がかかってしまうの。
個人再生と同時に住宅ローンの特則手続きで住宅ローンを残した場合は、従来通りの返済をするので保証人に迷惑はかかりません。
迷惑をかけてしまうのは、住宅ローン以外の借金に保証人が付いている場合です。
保証人にどれほどの迷惑をかけてしまうのか、手続きをする前に知っておきましょう。
連帯保証人の責任は大きく逃れられない
借金の保証人は通常は連帯保証人になっていますが、連帯保証人は一般の保証人とは責任の大きさが違います。
一般の保証人の場合は、主債務者(借りた人)が支払えなくなったときに、支払いを請求されますが、連帯保証人は主債務者と同等の支払い義務があるのです。

お金を借りたのと同じって事?

まぁ、そういうことね。
連帯保証人になるのもお願いするのもそこまで考えてないとダメね。
極端な話、主債務者に請求せず、連帯保証人に全額請求しても合法なんですよね。
例えば、主債務者が返済を滞納した場合に、連帯保証人に一括で全額返済の請求してもかまわないのです。
連帯保証人は、自分の借金じゃないから払わないなんてことはできないんです。
個人再生で連帯保証人にかかる迷惑とは!
個人再生をすると、債務総額によりますが最大10分の1にまで圧縮できます。
そして、個人再生した借金に保証人が付いていたら、減額後の残債務は保証人に支払い義務があるので請求されます。
債務総額や所有財産、給与収入によって減額幅は違うのですが、単純計算で例を挙げてみますね。
・減額:100万円(主債務者が払う)
・残債務:400万円(連帯保証人が払う)
個人再生をした本人は、100万円の支払いになるけれど、連帯保証人は残債務の400万円を支払うことになるのです。

えぇー!そんなことになったら恨まれるよね。

トラブルは避けられないでしょうね。
個人再生をすれば、借金が減って、家も残って楽になるかしれないけれど、連帯保証人に大きな迷惑をかけてしまいます。
人に借金を押し付けて、ぬくぬくと暮らしてると思われても仕方ないし、お付き合いや信頼関係に亀裂が生じますよね。
連帯保証人の支払い方法はどうなる?
個人再生をすると、そこで支払いがストップするので滞納したのと同じですから、全額一括返済を求めることになります。
個人再生の手続き中に主債務者に請求はできませんが、同等の支払い責任がある連帯保証人には請求できるのです。
契約書通りに全額一括返済を求められますが、金額が大きいと一括返済なんてできないですよね。
一括支払いできない場合は、債権者との交渉で分割支払いにしてもらえます。
主債務者が支払っていたのと同じ額を分割支払いする場合が殆どです。月5万円の支払いをしていたローンなら、その支払いを引き継ぐといった感じです。
主債務者の個人再生が認可されると、主債務者と保証人の2本立てで返済していくことになります。
そして、両方の支払いの合計で支払い終えた時に完済となります。
連帯保証人は主債務者に弁済を求められる?
自分がした借金でもないのに、多額の支払いをさせられた連帯保証人は、主債務者に負担した分を返してくれと言いたくなりますよね。
でも、個人再生した借金について、主債務者は減額された分しか支払う責任がないので、請求することはできません。
連帯保証人が一括返済していた場合どうなる?
個人再生前に連帯保証人が借金を肩代わりして一括返済していることもありますよね。
そんな場合にどうなるかというと、連帯保証人は再生債権者という立場になります。他の債権者と同じ立場になるってことです。
全ての債権者の借金を同等に減額するので、肩代わりしてくれた連帯保証人に対しても、減額分だけ払うことになります。
連帯保証人は、”肩代わりしてやるから返せるようになったら返してくれ”というつもりだったかもしれないですが、全額を払う必要はなくなるのです。
とても心苦しいですよね。
連帯保証人の不動産を担保にしていたらどうなる?
連帯保証人になってもらった身内の家や土地などの不動産を担保にして借金している場合もありますよね。
そんな借金を個人再生すると、担保に入れた身内の家や土地が取られてしまうんじゃないかと心配になります。
自分のために不動産を担保提供してくれるのは、親など近しい身内の場合が多いですものね。
ですが、連帯保証人には残債務の支払い請求がきますから、それを完済するまで支払えば不動産を失うことはありません。
連帯保証人も支払えないときはどうする?
連帯保証人に返済能力がなく、分割支払いでさえも支払うことができない場合もあります。
払えない場合は、連帯保証人も債務整理をするのが一番の対策になります。
任意整理で払えるなら任意整理が一番ですが、利息をカットしたぐらいでは払えない場合は、連帯保証人も個人再生や自己破産で債務整理をすることになります。
主債務者が弁護士などに個人再生手続を依頼している場合は、一緒にしてもらうのが良いです。
まとめ
連帯保証人が付いている借金を個人再生すると、大きな迷惑をかけることになります。
連帯保証人は主債務者と同等の支払い責任があるので、債権者から請求された支払いから逃れることはできません。
全額一括返済を請求されますが、債権者との交渉で分割支払いすることは可能です。
しかし、主債務者よりも多額の負債を背負わせる場合もあり、保証人に返済能力がなければ同時に債務整理をすることになります。
個人再生のデメリットの中でも、保証人への迷惑は大きいですから、手続きをする前に事情を話しておくことが必要です。
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