個人再生は借金を大幅減額できる債務整理ですが、デメリットも大きいことを忘れちゃいけないですね。

やっぱり何かリスクはあるよね。

リスクは仕方ないわね。
貸主が損するだけじゃ不公平でしょ。
個人再生は裁判所を介して行われる債務整理です。借金の元金を減額することで、任意整理できない人でも自己破産することなく借金の整理ができます。
ただ、債務者だけが有利になる方法ではなく、債権者(貸主)の負担もできるだけ軽減できるように双方に公平な立場で審議されるのです。
個人再生には、デメリットがあることも承知の上で手続しなければなりません。
個人再生のデメリット
個人再生はデメリットを知らずにすると後悔することもあります。

特に、自分以外の人に迷惑をかける場合があることが大きなデメリットですね。
個人再生には以下のようなデメリットがあります。
- 保証人に迷惑をかける
- 支払額が大きくなる
- 手続きが複雑で審査が厳格
- 債務総額に限度がある
- 手続きの費用が高い
- ブラックリストに載る
- 官報に掲載される
- 家族や職場にバレる可能性が髙い
自分にかかってくるリスクは仕方ないですが、保証人に迷惑をかけてしまうことは苦しいですよね。
①保証人に迷惑をかける
個人再生をすると、自分の借金残額は大幅に減らすことができます。ですが、借金に保証人が付いていた場合は減額した分の請求が保証人に請求されます。
借金の保証人は連帯保証人になっている場合が殆どで、連帯保証人は債務者と同じ支払い義務があるのです。
例えば、3000万円の借金は最大300万円にまで圧縮できますが、連帯保証人が付いていたら減額された分の2700万円は保証人が支払わなければいけないのです。
最悪の場合、連帯保証人まで債務整理をすることになりますよね。
借金を被らせてしまうことになるので、個人再生を行う前に保証人に事情を説明しておくことが必要です。
②支払額が大きくなる
住宅ローン特則の手続きを同時にする場合は、支払額が大きくなります。
住宅ローンを残して払い続けることになりますが、住宅ローンは減額されないので、再生計画での支払いと合わせると支払額が大きくなってしまうのです。
家を守りたいために個人再生を選ぶ方も多いですが、収入に余裕がないと払い続けるのが困難になります。
③手続きが複雑で審査が厳格
個人再生は裁判所を介した方法なので、資料が多く手続きが複雑です。また、再生計画通りに3年間支払い続けることができるかどうかの審査も厳しいです。
安定した収入が継続的に見込める人でなければ、再生計画が認可されないのです。
④債務総額に限度がある
個人再生には、住宅ローンを除いた債務総額が5000万円以下と限度があります。
限度額ギリギリの場合は、個人再生が利用できるかどうか考えないといけないですね。滞納していた場合には、利息や遅延損害金が債務総額に含まれます。
住宅ローンを含めた債務総額:7000万円
住宅ローンの残額:2100万円
住宅ローンを除いた債務総額:4900万円(利用できる)
住宅ローンを含めた債務総額:7000万円
住宅ローンの残額:2100万円
利息・損害金:120万円
住宅ローンを除いた債務総額+利息・損害金:5020万円(利用できない)
限度額を超えてしまう場合は、自己破産を検討することになります。
⑤手続きの費用が高い
個人再生は債務整理の中でも手続きが複雑なので、弁護士等の費用が高いです。法律事務所にもよりますが、30万円~50万円は必要です。
弁護士や司法書士に依頼しない場合は、裁判所で個人再生委員が選任され、その報酬が15万円~30万円は必要になります。
弁護士等に依頼していても、個人再生委員が選任される裁判所では費用がかなり高くなります。
⑥ブラックリストに載る
個人再生をすると、信用情報機関に金融事故情報が5年間記録されます。いわゆるブラックリストになるということです。
借金の申込が有った場合、金融機関は必ず信用情報機関を照会して審査しますから、新たな借入ができなくなります。
⑦官報に掲載される
個人再生をすると、国が発行する広報誌に名前と住所が3回掲載されます。
①個人再生手続開始決定されたとき
②再生計画案が提出されたとき
③再生計画が認可または不認可決定されたとき
不認可になって個人再生に失敗しても個人再生の手続きが開始されたら掲載されます。
一般人が官報を見ることはほとんどないので、知人などに知れてしまうことはないですが、闇金などに知られてしまい勧誘がくることがあります。
⑧家族や職場にバレる可能性が髙い
個人再生は整理する借金を選べないので、家族や親戚に保証人になってもらっていればバレます。
提出資料も多いので、資料調達時にバレることもありますね。
退職金の見込み額がある場合には、資料が必要ですから職場にもバレます。
誰にもバレることなく、個人再生することは難しいと思っていた方が良いです。
個人再生のメリット
個人再生のデメリットは大きいですが、その分メリットも大きいです。

デメリットをクリアできるなら、借金が大幅減額できるので利用したいですね。
個人再生には以下のようなメリットがあります。
- 借金が大幅に減額される
- 住居を手放さず守れる
- 車などの財産を残せる
- 借金の理由を問われない
- 職業制限がない
- 取り立てや支払いがストップする
- 強制執行を止められる
- 住宅の競売を止められる
- 債権者の同意が不要な場合もある
任意整理で利息カットや返済期間の調整をしても返済しきれない場合でも、住宅を守りながら返済が可能になる個人再生は魅力的ですね。
自己破産をすれば財産を全て失いますが、個人再生なら今までの生活を続けながら返済が楽になります。
①借金が大幅に減額される
個人再生は借金の元本まで大幅に減額することができます。
所有財産や給与所得によって減額幅は異なってきますが、最大10分の1まで債務総額を圧縮できます。

②住居を手放さず守れる
個人再生と同時に住宅ローンの特則の手続きをすることで、住居を手放さず住み続けることができます。
住宅ローンは減額されないので、支払い続けなければなりませんが、個人再生の支払期間中の住宅ローン返済額をリスケジュールで調整することもできます。
③車などの財産を残せる
所有財産に20万円以上の評価がある場合には、その評価額以上を支払うことで車などの財産を残すことができます。
自己破産ですと、処分して債権者に分配されてしまいますが、個人再生ならその価値の分だけ返済すれば手元に残せるのです。
ただし、カーローンが残っている場合には車を引き揚げられるのが通常です。
④借金の理由を問われない
個人再生は借金の理由が何であっても手続きをすることができます。
自己破産ですと借金の理由がギャンブルや遊興費の場合は免責不許可事由となってしまいますが、個人再生なら借金の理由を問われないのです。
自己破産ができないため個人再生を検討するケースも考えられますね。
⑤職業制限がない
自己破産には手続きが終了するまでに職業制限があります。弁護士、公認会計士などの士業、警備員、生命保険募集人、損害保険代理店などの職業に従事できなくなります。
その点、個人再生には職業制限がありません。いまの仕事の関係で自己破産ができない場合は個人再生を検討すると良いですね。
⑥取り立てや支払いがストップする
個人再生の手続きを開始すると、取り立てや支払いがストップします。支払いのために生活を切り詰めたり、取り立てに悩まされていたりの生活から解放されます。
手続きが完了するまで借金の支払いが無くなるので、生活にゆとりができます。また、その間に個人再生の手続き費用を払うこともできます。
⑦強制執行を止められる
個人再生をするまでになっていると、強制執行で給料を差し押さえられている場合もありますよね。
そんな場合でも、個人再生の手続きを開始すると、給料差押えなどの強制執行を止めることができます。
一部の債権者だけが有利に回収することを防ぐためです。
⑧住宅の競売を止められる
住宅ローンを滞納してしまうと、債権者は住宅を競売して債権を回収しようとします。
3ヶ月以上滞納すると、保証会社が代位弁済することで債権が譲渡され、競売手続きが開始されるケースが多いです。
住宅の競売手続きが始まっている場合でも、個人再生をすることで競売を止めることができます。
債権者の同意が不要な場合もある
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2通りありますが、給与所得者等再生では債権者の意見を聞くのみで同意の必要がありません。
任意整理では債権者の同意が得られず失敗することもありますから、どこから借りているかで個人再生を選択する道も選べますね。
任意整理よりも借金の減額幅が大きく、同意も必要ない個人再生は、返済に困窮している人にとって、大きな救済になります。
まとめ
個人再生は裁判所を介して行われる債務整理なので、債権者が同意しなくても手続きできる場合があり強制力があります。
住宅や財産を残しながら、借金を大幅に減額して返済可能になるというメリットも大きいです。
ですが、メリットが大きい分デメリットも避けられません。
デメリットの中でも、連帯保証人に大きな迷惑をかけてしまうことは痛いですね。
連帯保証人になってくれた方は身内や親しい人などで、あたなを信頼してくれた大切な人ですから、その後のお付き合いにも支障があるかもしれません。
債務額によっては、連帯保証人も債務整理が必要になる場合もあります。
事前の連絡もなく金融機関から保証債務の請求が届くことがないように、手続きを始める前にきちんと事情を話し、承諾を得ておきましょう。
個人再生のデメリットを理解したうえで、手続きができるなら、魅力的な債務整理の方法ですね。
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