自己破産は借金整理の最終手段と言われることが多いですよね。

なんか人生終わり!
みたいなイメージがある。

確かにそうかも!
でも誤解されていることも多いのよ。
自己破産は借金の返済を全て免除してくれる法的制度なので、借金に苦しむ人にとってメリットが大きい救済制度ですね。
しかし、自己破産と聞くと負のイメージが強く、自己破産だけは避けたい! と思う人が多いのも事実です。
そこで、自己破産とはどういったものなのか、自己破産体験者の管理人が、その実態を分かりやすくお話しします。
自己破産の申立ができる条件は?
自己破産の申立をするために、最低限必要な条件があります。
- 支払い不能と認められた者
- 過去7年以内に免責を受けたことがない者
借金を免除(免責)してもらうには更に条件がありますが、明らかに返済ができない状態でなければ自己破産の申立ては受理されません。
収入で支払えなくても財産を処分すれば返済できる状態であれば、自己破産はできないのです。
また、過去7年以内に自己破産で免責された人も、自己破産の手続きはできません。
自己破産は債務者に有利な制度なの?
裁判所を介して行われるので、債権者(貸した者)の同意不要で強制力があります。

債務者に有利な制度なのね!

それは違うの。
債権者と債務者に公平な制度なのよ。
自己破産の最大の目的は債務をなくすことです。とすると、債務者(借りた者)に有利で債権者には不利な制度のように思いがちですよね。
ですが、自己破産は債権者と債務者の双方にとって公平な制度なんです。
その目的は、破産法の第1条に定められています。
第一条 この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。
破産法より引用
分かりやすく言うと、「自己破産は、破産手続と免責手続をするのが目的ですよ。」ってことなんです。
- 債権者のための破産手続
- 債務者のための免責手続
「債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図る」とは、債務者の財産等を債権者のために清算し公平に分配する手続きのこと。
「債務者について経済生活の再生の機会の確保を図る」とは、債務者が経済生活を再生するために借金をなくすこと。
自己破産には2通りの手続きがある
自己破産は破産管財人が関わるかどうかで「同時廃止」と「管財事件」の2通りの方法があります。

破産管財人が関わるのが管財事件だよね?

正解!
個人の場合は同時廃止が多いんだけどね。
破産管財人は破産手続きをするために、債権者数や債権額、債権者に清算分配すべき債務者の財産調査などを行う者で、裁判所が選任します。
破産管財人が関わるのは、20万円以上の財産を所有している場合と考えれば分かりやすいです。
管財事件
20万円以上の現金・預貯金、20万円以上の価値がある不動産や車、生命保険の解約返戻金、証券などを所有している場合は管財事件になります。
管財事件では、裁判所で破産手続開始決定がされると「破産管財人」が選任されます。
破産管財人は、裁判所が選任する弁護士で、破産手続きに必要な財産の調査や免責不許可事由などの調査をします。
この破産管財人の報酬は、申立人である債務者の負担になり、法律上、最低50万円とかなり高額です。

自己破産するのに50万円って大変だよねー!

だよねー!
裁判所によっては少し安い方法もあるんだけどね。
自己破産をしようとする人は、お金がない人ですよね。そこで、東京地方裁判所や一部の裁判所では、「少額管財事件」という手続きもあります。
「少額管財事件」は、比較的短期間の調査で済むものについて、期間を短くして破産管財人の報酬も20万円程度の少額で行う手続きです。
管財事件になると、終了までの期間は半年~1年以上と、長期になります。
同時廃止
20万円以上の財産や、免責不許可事由になることがない場合には、「同時廃止」で手続きされます。
破産管財人の報酬が不要なので費用が安く済みますし、破産手続き開始と同時に終了するので、破産手続きがすぐに終了します。
破産手続き終了後は、債務をなくすための「免責手続」が進められます。
同時廃止の場合は、終了までの期間は、半年以内くらいで管財事件より早く終わります。
自己破産のメリット・デメリット
自己破産は借金の返済が免除されるので、借金の返済に困っている人にとって大きなメリットがあります。
その一方で、デメリットも他の債務整理に比べて大きいです。
自己破産のメリット
自己破産のメリットは、借金の返済が免除され、実質借金ゼロになることですね。
- 借金の返済が免除される
- 債権者からの取り立てがストップする
破産手続きの申立てをした時点で、債権者は取り立てができなくなりますから、支払いに追われる苦痛からも逃れることができます。
昨日までの日々が嘘みたいに、穏やかな日常を取り戻すことができます。
申立後に得た収入は返済に充てることも、差押えされることもなく自由に使えるので、経済的にも余裕ができます。
自己破産のデメリット
自己破産するとデメリットがたくさんあります。
- 高額の財産を失う
- 引っ越ししないといけなくなる
- 5年~10年新たな借金ができない
- 自己破産手続き中に職業制限がある
- 官報に金融事故が記載される
- 保証人に迷惑をかける
一番大きなデメリットは、管財事件の場合に財産を失うことですね。
持ち家がある場合は、手放すことになるので引っ越しすることになります。高齢の家族がいたりすると住み慣れた土地を離れるのが辛い場合もあります。
借家の場合は家賃さえ支払っていれば済み続けられますが、家賃を滞納していた場合には、滞納家賃も債務になります。
一部の債権者だけに支払いをすると免責不許可事由になるため滞納家賃を支払えないため、退居を要求される場合があります。
保証人に迷惑をかけるのも自己破産の大きなデメリットです。自分は借金がゼロになりますが、その支払いが全部保証人に行ってしまうのです。
借金が免責されないこともある?
自己破産の最大のメリットは免責されることですが、「免責不許可事由」といって免責されない場合の規定があります。
- 借金の理由がギャンブルや浪費
- ローン購入した品物を転売で現金化する行為
- 財産を隠す行為
- 債権者を公平に扱わない行為
ギャンブルで借金を作ってしまう人も多いですが、競馬やパチンコなどの他に、不動産投資やFXなどのための借金は、免責不許可事由になります。
ただ、絶対にダメかというと、諸事情によっては裁判所の裁量で免責される場合もあります。深く反省し態度を改め裁判官の心証をよくすることですね。
ギャンブルは免責不許可事由になるからと、嘘をついていたりすると、バレた時には大変なことになります。
財産を隠す行為も破産管財人や裁判所を騙すことになりますから、バレた時には手続きを妨害したとされ免責不許可事由になってしまいます。
絶対に嘘をつかないこと。事情がある場合は依頼した弁護士に説明して対応を相談することです。
債権者を公平に扱わない行為に該当するのは、一部の債権者だけに支払ったり、債権者一覧から外したりすることです。
税金など自己破産しても免責されないものは支払っても良いのですが、素人では判断が難しいので弁護士に確認してから支払った方が良いです。
破産申立後の生活に困らない?
自己破産なんかしたら一文無しになって、生活に困ってしまうのではないかと、悲惨な状況を想像してしまいますよね。

ホームレスになってしまわない?

そんなイメージあるよね。
自己破産の目的ってなんだったか覚えてる?

あ、債務者の経済生活を再生確保することだ!

そうそう、それよ!
経済破綻した人が再生するための制度なのよ。
自己破産しても手元に残せるものがあります。
- 現金99万円
- 生活に必要な家財や家電
冷蔵庫や洗濯機などの大型家電も含めて生活必需品は残せるので、何もかも失うわけではありません。現金も最高99万円残せます。
自己破産の申立てをすると、破産手続き中は弁護士や公認会計士などの士業、警備員、生命保険募集人など一部の職業に就けなくなりますが、それ以外の職業なら職を失うことはないですよね。
持ち家が競売されるまでには半年以上かかるので、それまでは住み続けることができます。
個人事業主などで事業もたたむ場合でも、手元に残せる現金99万円で数ヶ月は生活できます。その間に仕事を見つければ収入で生活できます。

お金がないから自己破産するのに、現金99万円なんてあるはずないって思いますよね。
でも、タイミングを外さなければできるんです。
まず、預貯金は引き出して現金で持っておくこと。解約払戻金がある生命保険は解約するなどで、現金にできるものは現金化しておくことです。
ただし、取引明細を付けて家計の収支に計上しておかないと、財産隠しになるので注意が必要です。
私が自己破産したときには、そうやって手元に残せる現金を確保したのですが、事前に弁護士さんに確認してから解約手続きなどをしました。
破産手続きには数ヶ月~1年以上かかるので、その間に引っ越し先を探したり職を探したりと新生活をスタートさせる準備ができます。
ですので、手元に残せる現金が確保できるタイミングで、自己破産に踏み切れば破産後の生活にそれほど困らないのです。
自己破産の費用はどうやって払う?
自己破産は弁護士などの法律の専門家に依頼した方がスムーズに運びます。そもそも、素人には手続が煩雑すぎて無理です。
弁護士に依頼すると30万円~50万円くらい費用がかかりますが、依頼人にお金がないことは承知してますから、分割後払いにしてくれる法律事務所が多くなっています。
破産の申立てをすると借金の返済がストップするので、お金に余裕ができますから分割支払いの相談をすると良いです。
裁判所への予納金は申立時に必要なので、これだけは工面しないといけないです。
同時廃止なら申立手数料、郵便切手代、官報広告費用だけなので、予納金は3万円ほどで足ります。
同時廃止になるのか、管財事件になるのか、費用はどれくらい必要なのか弁護士に相談してみると良いです。
まとめ
自己破産は借金の返済を全て免除してもらえる法的制度です。借金に苦しむ人を救済し、経済生活を再生してくれます。
また、財産等を清算して分配することで、債権者にも公平な対応を図る制度です。
メリットが大きい分、デメリットもありますが、手続きのタイミングを外すことなくできれば、破産後の生活にもそれほど困ることはありません。
素人では判断が難しいので、まずは弁護士などの専門家に相談してみることですね。
借金の状況によっては、自己破産以外の債務整理が可能な場合もあります。いずれにせよ、借金の返済が困難になったら早めに相談した方が良いです。
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もしかすると、自己破産以外の債務整理で借金を減額できるかもしれません。
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