大学や専門学校へ進学するために、奨学金を利用する学生は、2.6人に1人もいるという今、奨学金の返済ができない人が急増して社会問題になっていますね。
親に負担をかけずに自力で学ぼうという意識は素晴らしいですが、奨学金は返済しないといけないことをしっかりと理解して利用できていますか。

奨学金という名の長期ローンを、就職も決まらないうちに抱えてしまうんですよね。
ない袖は振れぬと、奨学金の返還を延滞していたらどうなるのか、返済が難しくなった時はどうすべきかか、対処の仕方によるメリットやデメリットをお伝えします。
正式な制度の利用で上手く切り抜けられる対策や、奨学金以外の借金がある場合の対策も参考になるかと思います。
奨学金は借金です
奨学金は、家庭の経済的理由などで進学が難しい学生が自立して学ぶことを支援するために貸与してくれるお金ですが、結局は教育ローンみたいなもの。

要するに、奨学金は借金です。
修学期間中は貸与を受けるのみで、返還の必要はないのですが、返済財源は卒業後の労働収入です。
通常なら、安定した収入があり返済見込みがある人でないと借金できないのですが、奨学金は収入もない学生が借りることができてしまいます。
年々、奨学金が返済できない若者が急増する今、親に負担をかけずに大学へ行ける!と、メリット部分だけ見て安易に借りてしまっているのではないかと思います。
大学4年間の奨学金が大金になってしまうことをちゃんと把握して、卒業後、自分で返済しないといけないことをしっかり受け止めて、奨学金の貸与を受けている学生がどれほどいるのでしょう。
受験勉強でいっぱい状態の高校時代には、そこまで考えが及ばなかった方も多いことと思います。
しかし、借りてしまったものは返さないといけないので、あなたにできる返済方法を見つけてくださいね。
奨学金を延滞したらどうなるか
奨学金は、「日本学生支援機構」から貸与している方がほとんどですね。
奨学金には,無利子の「第一種奨学金」と、有利子の「第二種奨学金」があり、利子がある「第二種奨学金」の利用者の方が多いです。
利率は、金融機関に比べると低いですが、奨学金の総額が多くなると、利子もバカになりません。
大学を卒業しても、正社員として就職できなかったり、給料が安く低所得で奨学金の返済ができずに滞納する方が多いんですね。
奨学金は借金ですから、滞納したらサラ金の借金と同様の厳しい罰則が課せられます。
しかも、本人だけでなく、連帯保証人の親や親族にも負担がかかってしまいます。
延滞金が課せられる
毎月の返還日の支払いが遅れると、延滞金が発生します。リ遠近の利率は、年2.5%~10%です。
たとえば、200万円の奨学金残高があった場合、1ヶ月分の利息を年利10%で計算すると・・・
2,000,000円×0.1÷365日×30日=16,438円(延滞金1ヶ月分)
1年間滞納し続けると、単純計算で、2,200,000円に膨れあがってしまいます。実際には利息にも複利で延滞金が発生するのでもっと多くなるはずです。
文書と電話で督促される
延滞すると、本人はもちろん、連帯保証人や保証人へ請求書が送付されることになります。
連帯保証人は、債務者(借りた本人)と、同等の返済責任があるのです。
個人信用情報機関に個人情報が登録される
延滞期間が3か月以上になると、個人信用情報機関に個人情報が登録されます。世間一般で言われている「ブラックリスト」になってしまうのです。
ブラックリストに掲載されると消すことはできないので、住宅ローンや車ローン、クレジットカードなどの審査が通りにくくなってしまいます。
債権回収会社から督促される
延滞をし続けていると、債権回収会社に回収を委託するため、厳しい取り立てをされることになってしまい、最終的に法的手段によって、給料の差し押さえにまでいたる場合もあります。
奨学金の返済が困難になったらやること
奨学金の返済が困難になってきたら、滞納する前に、「日本学生支援機構」の制度を利用して、延滞を防ぐこと。
「日本学生支援機構」には、災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に、願い出できる制度があるんです。
その制度は、「減額返還」と、「返還期限猶予」です。
親にバレることもなくできる制度なので、返済が難しいときには早めに利用を考えてみてはいかがでしょう。
※経済困難な状態とは、年収300万円以下の場合です。
減額返還で月々の返済が楽になる
「減額返還」とは、一定期間、1回当たりの返済額を2分の1に減額してもらえる制度で、月々の返還額が半分になるので、支払いが楽になります。
ただし、返還すべき奨学金の元金が減るわけではないので、その分返済期間が延長されます。
延滞していると、「減額返還」の制度を利用することができないので、延滞していないうちに手続きをすること。
返還期限猶予で返済をストップする
「返還期限猶予」とは、最高10年まで、一定期間、返済を停止して先送りしてもらえる制度です。
返還期限猶予の期間中は、返済しなくても延滞扱いにはなりませんから、ブラックリストに登録されることもありません。
ただし、返還すべき元金や利息が免除されるわけではないので、猶予期間で先送りした分、完済も先送りになります。
延滞していると利用できないので、延滞しないうちに手続きしましょう。
返還期限猶予中の利息が痛いところですが、この期間の利息をゼロにする方法があります。
返還期限猶予期間の利息をゼロにする方法
返還期限猶予期間中に、できるだけ節約してお金を貯めておき、猶予期間終了後に、貯めたお金で「繰り上げ返済」すると、繰り上げにあたる期間の利息がかからないんです。
正当な制度を利用して、返済が楽になるばかりか、利息の節約にもなるので、奨学金の返済ができないと感じ始めたら、延滞してしまう前に「返還期限猶予」の願い出をしてはいかがでしょう。
奨学金以外に借金があるとき
奨学金が返済できない方の中には、奨学金だけなら返済できるけれど、奨学金以外の借金が複数あるため返済が困難になっているケースも多いですね。
対策として、借金を一本化して月々の返済額を減らす方法もありますが、安定した収入がないとおまとめローンの審査が通りにくかったりします。
そんな場合は、債務整理で借金を減額してもらうことも検討した方が良いです。
ただし、奨学金を債務整理すると、親や親族など連帯保証人に迷惑をかける場合がありますので、債務整理の方法を選ぶ必要があります。
親に迷惑をかけない債務整理
親にバレにくく迷惑をかけない債務整理の方法は、「任意整理」と「特定調停」です。
任意整理は、弁護士や司法書士に依頼して、債権者(貸主)と借金の減額交渉してもらう方法で、将来の利息をカットしてもらうなどで支払い可能な額に減額してもらい3~5年で完済する方法です。
特定調停は自分で簡易裁判所に申立をすることで、調停委員を介して債権者と交渉してもらえます。任意整理と同様の債務整理で、手間はかかるけど費用があまりかかりません。
どちらの方法も、整理したい借金だけを選ぶことができます。債権者が交渉に応じてくれることが前提ですが、奨学金は交渉に応じてくれないとのこと。
なので、奨学金以外の借金を任意整理で減額してもらい、奨学金は予定通りに返還するのです。
他の借金を減額しても、奨学金が返済できないようであれば、奨学金は、「減額返還」や「返還期限猶予」の制度を利用すると良いです。
奨学金は債務整理せずに、自分で支払うので、親に迷惑をかけることはありません。
親に迷惑をかける債務整理
親に迷惑をかける債務整理は、「個人再生」と「自己破産」です。
個人再生は、借金を5分の1、または100万円に減額してもらえますし、自己破産は、借金の支払いが免責され払わなくてよくなります。
本人にとっては、ありがたいことですが、本人が返還しなかった奨学金は、連帯保証人に請求がいきます。ほとんどの場合、連帯保証人は親ですよね。
そもそも、親の経済状態に余裕がなかったので奨学金を借りたはず。
子供が自分で返すといって借りた奨学金の返済請求がきたら、親は困りますよね。場合によっては親も自己破産することになります。
ですので、自己破産しか方法がなくなるまで、放置しないことです。
奨学金の返還開始日までにやること
奨学金の返還開始日は、奨学金の貸与が終了して6ヶ月を過ぎた7ヶ月目からになります。
3月で大学を卒業して奨学金の貸与が3月で終了したら、7ヶ月後の10月からの返還になるのです。
なので、この6ヶ月間の給料から、できるだけお金を貯めておくことです。
また、大学在学中にもアルバイトをして、できるだけ貯金をしておいて、奨学金の返済に備えておくことですね。
返済不要の奨学金もある
「日本学生支援機構」の奨学金は、全額を返済しないといけませんが、返済しなくてもよい奨学金もあります。
朝日奨学会、毎日育英会、読売育英奨学生制度など、新聞販売所で朝刊・夕刊の配達などの仕事をしながら、返済不要の奨学金を受けられる制度です。
朝刊・夕刊の配達、チラシの折り込み、集金などの業務で、1日に5~6時間の仕事をすることが条件ですが、無料宿舎も用意されていますし、給料もいただけます。
在学中の労働で全て賄えるので、卒業後に奨学金の借金を背負うことはありません。
ただ、早朝からの仕事になるので、学業に支障をきたすかもしれませんし、強い意志と体力がないと続けられないでしょう。
奨学金返済方法まとめ
奨学金が返済できないときの対処法、いかがでしたか?
奨学金は借金ということをしっかりと認識して、返済が難しくなってきたら、延滞する前に対処することが肝心です。
すでに延滞している状態であれば、親や親族など連帯保証人の対策も含めて、弁護士や司法書士に相談した方が良いかもしれません。
延滞し続けて放置することだけは避けてくださいね。
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